部下育成「本気」
― 部下育成の手法はいろいろあれど、本気がなければ人はついて来ない―
1. スポーツの世界は監督次第
リーダーの重要性をわかりやすく見せてくれるのがスポーツです。スポーツの世界では、どんなに優秀な選手を揃えても、監督に技量がなければ、結果を出すことはできません。これは、誰もが知っている事実です。
さて、2023年の箱根駅伝は、駒澤大学が優勝を飾りました。駒澤大学には大八木監督がいます。疾走する選手の後ろから「男だろ!」「信じてる」「白バイを抜け」「なにがガッツポーズだ、バカヤロー!」などの檄を飛ばすことで有名です。風貌は昭和のおやじ。一歩間違えればパワハラになりそうなギリギリの線をいっているのは言うまでもありません。
2. 時代の変化
しかし、そんな駒澤大学も優勝できない時期がありました。
大学に入学してくる選手たちの“質”が徐々に変わってきていたのです。同じ指導をしても、勝てなくなりました。
そこで大八木監督は時代にマッチした指導に切り替えました。昔と今での選手への声かけはずいぶん違うと言います。
「昔は指導者からの一方通行でも、選手はついてきた。『なにくそ』という反発力があったが、今の生徒にはそれがない。強く言うと、シュンとなってしまう。」
これはビジネスの現場でも同じことです。管理職の皆さんは多いに頷けることと思います。
3. 時代にマッチした指導とは
それでは大八木監督は何を変えたのでしょうか。
一方通行の指導から、選手の意見を聞くようにしたということです。
他には、「1年生の3か月間は強制的に丸刈り」というルールを撤廃したら、好選手が入学してくるようになった。寮の掃除も1年生の仕事だったが、全学年でやるようになった。
などがあるようです。
できるだけ「理不尽さ」をなくしていったのでしょう。
4. 時代に合わせて「緩くなった」にならないように
大八木監督は、選手の意見を聞くようになりました。そして口調も少し優しくなりました。
それでは厳しさはどうでしょうか。全く変わっていないと思います。
ところで、厳しさとは何でしょうか。私は本気度だと思っています。何かを成し遂げようとするリーダーに、「本気」「厳しさ」を部下が感じなければ、その仕事は楽しくはないでしょう。そして部下は育ちません。目標を達成することもできません。
5. 人は「人の本気」についてくる
人間が進化するには莫大な時間を要します。人はここ数十年で進化したわけではありません。昭和、平成、令和、という時代に「世間の価値観」が変わっただけです。マスコミ、政府の方針、教育によるものです。
ですから、人が動く、大切な根本を忘れてはいけません。
人は人の本気についてくるのです。リーダーが一生懸命やるから、部下も頑張ろうと思うのです。
緩い(甘い)上司に対して、部下は尊敬には至らないでしょう。
箱根駅伝に戻りますが、エースである田澤選手の大八木監督への思いは本当に大きなものであると思いました。
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