顔を合わせるコミュニケーション
― 社員同士の繋がりが生産性の向上に結びつく ―
1. 直接的なコミュニケーションが生産性を向上させる
米大手銀行バンク・オブ・アメリカは数年前、社員同士が実際に会って会話することの重要性を同社コールセンターで調査しようと考えた。そこで約90人のスタッフに小型センサーが付いたバッジを1週間装着してもらい、彼らの動きや会話の口調を記録した。
そのデータを分析した結果、最も生産性の高いスタッフは結束の強いチームに属しており、同僚と頻繁に会話していることが明らかになった。そこで同行は従業員同士の交流をさらに活性化させるため、休憩を1人ではなく、グループで取るようスケジュールを組んだ。そうすることで生産性が少なくとも10%上昇した。
(ウォール・ストリート・ジャーナルより)
この記事は、2013年3月8日にウォール・ストリート・ジャーナルで発表された「センサーで社員の行動を追跡する米企業が増加」という記事の一部を抜粋したものです。
生産性の高いスタッフがいるから結束の強いチームになったのか、結束の強いチームに属するから生産性の高いスタッフになったのかは不明ですが、人と人との直接的なコミュニケーションが生産性を左右していることには間違いありません。
2. 便利さの裏側で失われているもの
そもそも会社組織は、人のパワーを高めることができるかどうかで業績が決まります。給料の額だけで生産性を高めることはできません。人は人に影響されます。人は人によって触発されます。
前述したウォール・ストリート・ジャーナルの記事には続きがあり以下の通りです。
「バンク・オブ・アメリカと同じくキュービストも、生産性の高さと直接顔を合わせたやり取りとの間には相関性があることを発見した。昼休みになると従業員の多くが互いに会話するよりも、席にとどまって電子メールをチェックしているため、交流活動が大きく落ち込むことが明らかになった。
この結果を受け、同社はさえない社員食堂をもっと魅力的にする決定を下した。照明を変え提供する食事を向上させることで、従業員が席にとどまらずに一緒に食事を取るよう促した。」
昔、日本企業の社員間のコミュニケーションは深く、絆がありました。パソコンもインターネットもメールもスマホもない時代のことです。当時の日本企業の社員は強い絆で繋がり、人と繋がるパワーが高度成長期を支えていました。
デジタルとアナログ、ネットとリアル、便利さの影で失いかけているものも少なくありません。今、人と直接顔を合わせたコミュニケーションの回復を模索する企業が増えています。
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