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「まずAIに聞く」―AI活用の裏で起こる職場のトラブル

「わからないことがあったら、まずはAIに聞く」
「わからないことがあったら、まずはAIに聞く」最近の若手社員の傾向だ。少し前なら、隣の席の先輩や上司に質問していたことも、今ではAIに聞けばすぐに答えが返ってくる。しかもAIは24時間対応で、何度質問しても嫌な顔ひとつしない。便利なツールである。
しかし、その一方で気になる変化も起きている。職場での「質問や相談」が減っているのである。上司に聞かなくても仕事が進む。自然と会話が減る。いつの間にか上司は部下の考えを知らず、部下もまた上司との距離が縮まらない。
AIは答えをくれる。しかし「会社の事情」は知らない
AIは早い。そして精度も悪くない。メールの文面も作れる。プログラムも書ける。プレゼン資料の構成も考えてくれる。市場調査の情報も集めてくれる。
しかし、仕事は一般論だけでは動かない。たとえば、「あそこの取引先は、この提案では動かない」「この案件は先に課長へ相談しておいた方がいい」「今期の予算では難しい」。こうした生の情報が仕事では重要な意味を持ち、現場を動かし、成約に繋がる。
だからこそ、上司や先輩に確認、相談できる環境が大切なのである。
AIは質問者の意見に同調するが、反対はしてくれない
もうひとつ大きなな問題がある。AIは質問者の考えに寄り添うように出来ている。
例えば部下が、「このプロジェクトは中止すべきではないか」と思いながらAIに質問すれば、AIは中止すべき理由を次々と提示してくる。すると部下は、「AIも同じ意見だ」=「自分の意見はやっぱり正しい」と思い込む。
「AIの出す答えは、正解ではない。AIは180度逆の意見も説得力を持って伝えることができる。質問者の意見に寄り添ったマシンである」ということを、早い段階で社員全員が認知することが必要である。
もっと困ったことに、社員は感情的な相談もAIにすることがある。「こういう件で上司に注意された。自分は間違っていないと思う」そうなると、AIはとことん部下の味方になる。部下の心には、上司に対する不信感だけが募っていく。こうなるとAIは、リアルに存在する人間よりたちの悪い存在にもなる。
AI活用による弊害
AIによって知識を得ることは簡単になった。しかし、人を育てることはAIには出来ない。むしろAIの普及によって、新たな弊害も生まれている。
前章で述べたことの他にも、「モチベーション」の問題もあげられる。部下が作った企画書も、「どうせAIが作ったのだろう」と思われる。能力も努力も、これでは社員のやる気は失われていく。
AIを活用する一方で、上司と部下の「関わり方」「評価基準」「モチベーション」「コミュニケーション」について、新たな方向性を明示することが課題となる。
さらに見落としてはいけない問題が、情報漏洩のリスクと、AIの誤情報(ハルシネーション)の問題だ。社内の機密情報を含むやり取りをAIに入力してしまうケースは、すでに問題になっている。また、AIは間違いを答えることがある。
こうしたリスクについても、日常業務の中で、常に神経を注いでいく必要がある。また、AIを使う上での弊害についての社内教育も急がなければならない課題である。。
AIを活用し、企業が活きるために
AIは驚くスピードで進化している。企業はAIの活用は必須となる。しかし、だからと言って、仕事はAIだけでは完結できない。AIを使うのも人間であり、最終的にプレゼンするのも人間の力なのだ。社員の力を疎かにしては、やはり企業の発展はない。
AIの活用によって、人間力が失われてはいけない。現状、見えているAI活用による弊害には、迅速に対処し、社員教育をお勧めしたい。また、今後もAIの進化に伴い、新しい武器を手に入れていくだろう。そして、その裏には必ず弊害も発生するという意識を持ち、スピード感を持って対処していくことが課題となるだろう。
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