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優秀なのに部下が育たない人の共通点7つ

優秀なプレイヤーは必ずしも優秀な指導者にはなれない
「仕事はできる。判断も早い。成果も出してきた。それなのに、なぜか部下が育たない. 」これは多くの職場で繰り返されている現象だ。本人も周囲も不思議に思っていることが多い。「あの人ほど優秀な人はいないのに」。しかし、その人の下では人が育たず、チームが強くならない。むしろ疲弊していくことさえある。
結論から言えば、「優秀であること」と「人を育てられること」は、まったく別の能力である。そして、優秀だからこそ陥りやすい「共通点」が存在する。
1.「自分でやった方が早い」という苛立ち
優秀な人が最も陥りやすい心理状態がこれである。部下に説明する時間、修正する手間、完成までの待ち時間。これらを考えると、自分で手を動かした方が圧倒的に速い。しかもクオリティも高い。だから、ついつい自分でやってしまう。
この判断は、短期的に見れば正しいとも言える。今日の成果という観点では、最も効率的な選択に違いない。しかし、この積み重ねは組織にとって致命的な結果を招くことになる。
部下が成長できない。難しい仕事にチャレンジする機会がなく、責任も与えられない。いつまで経っても部下の力量が上がらず、上司一人の力で回している脆弱な組織が出来上がる。
さらに深刻なのは、部下に与える心理的影響である。「どうせ任せてもらえない」という無力感が蓄積していく。モチベーションは低下し、自ら考えて動く意欲を失っていく。優秀な上司の苛立ちは、部下をさらに受け身にさせ、「やっぱり自分でやるしかない」という悪循環を生み出すことも多い。
部下育成とは、スピードを落とす覚悟と根気である。その覚悟が持てない限り、人は育たない。
2.出来ない人の気持ちや行動を理解できない
優秀な人は、多くの場合、物事を自然に習得してきた。苦労があったとしても、それは「高いレベルでの苦労」であり、基礎的なことでつまずいた経験は少ない。そのため、部下がなぜそこで躓くのか、なぜそんな単純なことができないのかが、本質的に理解できない。
たとえば、優先順位をつけるのが得意な人は、それを「当たり前のこと」として捉えている。しかし実際には、複数の業務を前にしてパニックになる人もいる。何から手をつけていいかわからず、動き出すことができない。仕事が遅れ、中途半端になる。こうした心理状態を、優秀な人は想像することも難しい。
さらに問題なのは、この理解不足が態度に表れることだ。「こんなこともできないの?」という言葉や表情は、たとえ口に出さなくても、部下に確実に伝わる。そして部下は萎縮し、ますます本来の力を発揮できなくなる。負のスパイラルが始まるのだ。
3.目先の効率を求め、待つことができない
部下を育てるには時間がかかる。最初は遅く、ミスも多い。何度も同じことを説明し、フォローしなければならない。このムダとも思える「時間」に耐えられないのが、優秀な人の特徴だ。
「説明に30分かけるなら、自分でやれば10分で終わる」「最初から自分でやった方が早い」。部下は成長の機会を失い、いつまでも簡単な仕事しか任されない。
人材育成とは本来、時間と手間暇をかけて初めて実るものである。今日の3時間が、来年の30時間を生み出す。今年の非効率が、3年後の組織力となる。この時間軸で考えられるかどうかが、部下育成できるか否かの分岐点だ。
また、優秀な人ほど、目の前の成果に対する責任感が強い。だからこそ、確実に結果を出せる「自分でやる」という選択をしてしまう。この責任感の強さが、組織の将来を損なう結果につながる。
4.自分の成功の原因分析が出来ていない
「なんとなく分かる」「自然に身についた」。実は、優秀な人ほど、自分のスキルを言語化できていないことが多い。
そのため指導は感覚的になる。しかし部下にとって、それは最も難しい指示だ。再現性がなく、基準も曖昧だからである。
自分がなぜできるのかを分解できない限り、他人に教えることはできない。育成とは、自己分析の延長線上にある仕事なのだ。
5.出来ないのは部下の能力が低いから
部下育成がうまくいかないとき、最も簡単な逃げ道がこれである。「私の部下はハズレだった」「能力が足りない」。部下が育たない理由を部下の能力のせいにした瞬間、上司としての成長は止まり、育成は出来ない。そのような職場では、部下に対する評価だけがなされ、部下の成長や可能性は閉ざされてしまう。
6.部下を信用していない
細かく指示を出し、逐一チェックし、少しのミスも許さない。一見すると熱心な指導に見えるが、その根底には「任せるのが怖い」という不信感がある。
人は、信用されなければ成長しない。信用しない上司のもとでは、部下は全力で能力を発揮しようとはしない。
7.部下を育てるという意識が薄い
最も本質的なのがこれである。多くの「優秀なのに育てられない人」は、育成を自分の役割として本気で捉えていない。
評価されてきたのはあくまで自分の成果であり、人を育てることで評価された経験ではない。
育成は「余裕があればやるもの」「本業の合間の作業」になる。しかし、人材育成は片手間で出来るようなものではない。
【対策】優秀な人が育てる側に回るために
優秀な人は、部下を育成することができないのではない。管理職としての新しい視点を持てば良いのである。
- ・成果より成長を見る
- ・効率より経験を優先する
- ・正解より思考プロセスを尊重する
- ・部下の可能性を信じる
そして最も大切なことがもうひとつある。それは、部下を育成することが管理職としての大きな責務であることを自覚すること。部下育成に本気になることである。
「優秀な個人」で終わるのか、「人を育てる存在」になるのか。その分かれ道は、能力ではなく、意識の向き先にある。
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